
フランスでテイクアウト専門の鮨屋を開業 ワンオペの小さな店が地域で評判
フランスでテイクアウト専門の寿司屋『NicoNicoYa』を開業した小坂田 英子さん。地元民からの評価は高く、Googleマップ上の59件のレビューは全てが5点(2025年2月現在)。「史上最高の寿司」「人生でこんなに美味しいものを食べた記憶はありません」と、賞賛のコメントが並びます。
仕入れから仕込み、調理、店舗運営に至る全てを小坂田さんがひとりで行っています。地元紙でも紹介され、フランスにおける日本人経営の寿司屋として確固たる信頼を築いているのがわかります。
オープンは2023年5月5日。開店準備のため、東京すしアカデミー同期の2人が助っ人として日本から駆けつけてくれました。
3人は集中コース164期(2022年5月9日~7月1日)の卒業生。甲斐さん(右)も2022年12月に岡山県で鮨屋を開業。小村さん(中央)は島根県で「京橋川おむら」の開業準備中という忙しい中での渡仏でした。
「お寿司が沢山の縁を繋いでくれました。同期の甲斐さんや小村さんからは、本当に良い影響を沢山もらいました。彼らが頑張っているからこそ、私も挑戦しようと思えたのです。忙しい中、遠方から手伝いに来てくれた友人たちには、感謝してもしきれません。」
元々、フランスでイベント企画の仕事をしていた小坂田さん。コロナ禍で仕事が減ってしまったことをきっかけに、レストラン事業の立ち上げを決意します。
「以前から日仏の懸け橋になるような仕事がしたいと考えていました。日本の家庭料理のお店をやる案もありましたが、フランス人はお寿司が好きなので、寿司がないとがっかりするかなって。」
フランスにも寿司学校があるそうですが、せっかくなら江戸前の本場、東京で学びたいと、当校を受講しました。
NicoNicoYaで提供しているお寿司の一番人気はサーモン。マグロ、タイも人気です。授業で杉田講師から教わった、サーモン1匹をまるごと捌く技術が、お店でも活かされているそうです。アカデミーでの2ヶ月間を、小坂田さんは次のように振り返ります。
「大根の桂剥きには泣かされました。放課後の自主練習で、学校の近くにある八百屋で毎日、大根を買っていましたが、店主のご夫婦にはとてもお世話になりました。良心的な値段でしたし、毎日励ましの言葉を頂いてたくさんの元気をもらいました。2年半ぶりに挨拶に行くと、おばちゃんが涙を流して喜んでくれました。嬉しかったです。」
成市果実店の御夫婦
すしアカデミー卒業後は、利き酒師の資格を取得したり、飾り巻きすしの検定も受講。フランスに戻ってからは物件探しに内装工事、食材や器の仕入先の開拓など、忙しい日々を過ごします。
1年にも満たない短い期間でお店を開業したことについて、今考えると無謀だったかもしれないと、振り返ります。
「私の寿司の技術は、すしアカデミーで学んだことが全てです。寿司屋の開業も、今考えると無謀だったかもしれません。でも、自分らしい店ならやれるという根拠のない自信もありました。自分への挑戦だったのです。最後はやるかやらないかだけです。自信を持つことが成功への鍵になるのだと思います。」
西田講師から聞いた、卒業生の開業事例も励みになったと言います。浦和で「リベルテ」というお寿司屋さんを開業した冨樫さんも、寿司屋での修行経験なしで手作りのお店を一人で切り盛りしていました。
食べログのレビューを見るとわかりますが、冨樫さんの人柄に惹かれて訪れるお客さんが多いようで、店舗のひとつの理想形と言えます。
小坂田さんも気さくで明るいお人柄。お店は忙しいながらも、順調に顧客を増やし、地域でも評判の店に成長。本業であったイベント企画の経験を活かしたケータリング需要も増えているという。もうすぐ開業から2年を迎える『NicoNicoYa』。
今回、長期休みを取り、久しぶりに来日した小坂田さんは、同期の甲斐さんや小村さんの店で数日間勉強をしてきたそうで、大きな刺激を受け、気持ちを引き締めたと語ります。
「初めて暮らした東京で、素晴らしい出会いに恵まれました。このご縁があったからこそ今の自分があり、今でも仲間と切磋琢磨しながら多くの刺激をもらっています。まだまだ未熟ではありますが、これからも学びを深め、お客様が笑顔になるような自分らしいお店づくりに励んでいきます。 」
『NicoNicoYa』 のインスタグラムをチェックしてみてください。