【海外就職】寿司と和牛のブランド力は日本食で最強!ニュージーランドでも人気:三木さん②
NZの自社牧場で和牛を生産するレストラン『Mad Samurai』のヘッドシェフ三木郁弥さんに海外就職についてお話を聞きました。日本食で最強のブランド力を誇る寿司と和牛はNZでも大人気!旨い肉を安く提供できるビジネスの裏側も聞けました。
この記事は全3回の対談記事のその②です。その①もご覧ください。また、この対談の様子はYouTubeでもご覧いただけます。
自社牧場で和牛を生産するレストラン
三木さん:僕が入社した『Mad Samurai』はニュージーランドの日本食レストランです。自社で和牛の牧場を持ってまして、和牛を生産してそれをレストランで販売をするための旗艦店としてオープンしました。
日本食がベースのフュージョン系のレストランです。お寿司もありますし、和牛の料理もある。でも基本的には和牛メインのメニュー構成になってます。
福江:お店がオークランドの中心にあるって事なんですけど、オーストラリアのブリスベンと比べてどうですか?僕が行った10年ちょっと前は、日本食の文化は3年から5年は遅れてると言われてましたけど。
三木さん:それは多分変わらないと思います。文化的なものだったりとか食育も含めて、お寿司とか生食に対する理解っていうのもだいぶ上がってきてはいるんですけれども…
純日本食・寿司よりもフュージョン?融合したスタイルの寿司の方が人気があるんですよね。
三木さん:ウケは良いです。ただ、握り寿司を食べたい人が多いのもまた事実です。
福江:ホリエモンも『和牛マフィア(※堀江貴文プロヂュースの会員制レストラン)』をやってるけど和牛は今、日本食で一番強力なコンテンツと言ってますよね。
三木さん:これは本当に思います。特に和牛は単価が高いですし。ラーメンも人気ですけど、ラーメン一杯より和牛100g は何倍も高いわけですから。本物志向の人や裕福な人は良いものを選んでくれます。
三木さん:僕たちの会社も今年から本格的に海外輸出もどんどんするし、A5とかA4とかの格付けもどんどん上がってきてて、生産の頭数も増えてきてる。この先もっと盛り上がりますね。
生徒さん:お店で使われている和牛はグラムいくらぐらいですか?
三木さん:僕らが使っている和牛は生産からお店までがグループ会社内で全部収まっているので、よそに出してるお肉より同じクオリティーだけど安いです。
お店で売ってるのは150gで40NZドル切るくらいの売価です。今大体1NZドルが70円ぐらいなんで150gのヒレステーキが2800円ぐらい。
福江:その金額で食べられるのは中々無いよね。
ニュージーランドの人たちは肉の使い方を知らない
三木さん:はい。あと、ニュージーランドのトップシェフ、トップレストランでは一定の部位しか使い方を知らないんですよ。例えばステーキカットに向いてるヘレだとか、サーロインだとか、ランプ(お尻の方の赤身の肉)はとにかく人気。
そこにはすごい価値があるからどんどん売れるんですね。だけどそれ以外の部位は全然売れない。
でも僕ら日本人はすね肉は煮込んでシチューにしたら美味しいとか、スライスにしてしゃぶしゃぶとかすき焼きにしたら食べれるとか知ってるじゃないですか。でもニュージーランドの皆さんは知らない。
内蔵とか牛タンとか絶対食べない。もちろんテールも食べない。しかも、歩留まりの問題があって、さっき言った人気の3部位に利益を乗せるんです。他の部位が売れないから。必然的にその3部位は高くなるんです。
安いそれ以外の部位を僕らは使い方を知ってるんで、ステーキでも例えばアンガスビーフだったら固くて食えない部位でも、和牛だと穀物を使って肥育してるんで、サシが入って柔らかいんです。
肩肉でも美味しい。薄く切って飾り包丁入れるだけで全然美味しいステーキが食べられるんで、むしろヘレより美味しんですよ。よく動く部位なんで味が濃いんです。
そういう使い方を出来るか出来ないか、知ってるか知ってないか。僕らはそれが出来るから安く、美味しく出せる。これが強みですね。
生徒さん:最近、日本ではお肉を握るのが流行ってるじゃないですか。ニュージーランドではどうですか?
三木さん:お肉の寿司もやってます。
福江:肉寿司ブームですね。
三木さん:肉で巻いててウニ乗ってたり、キャビア乗ってたりとかありますよね。使える部位もいっぱいあるから、肩バラとか薄くスライスして握って、軽く炙ったりしたらバンバン売れます。
ローストビーフ丼もランチでバカ売れです。温泉卵はたべません。ポーチドエッグって言ったらイケるんですけど、生卵は絶対にたべません。ゆるい温泉卵も嫌がりますね。
NZでは寿司は学べない
福江:三木君はどちらかというと、ビジネス思考っていうのかな。職人とか料理人として極めたいっていう意識よりも、ビジネスとかマネジメントにコミットしたいタイプだと思うんだけど。
三木さん:僕は寿司職人になろうと思ってすしアカデミーに入りましたけどニュージーランドに来てみたら、今ほとんど寿司を握ってなくて、魚も全然切ってないんですよ。
今僕は和牛のブロック切ったりとか、餃子作ったりとか、アンから作ってるんですよ。唐揚げ仕込んだりとか、とにかく何でもやってるんですね。これ僕、ニュージーランド行くまでやったこと無かったですけど、行ったらやるしかないからやるんですよね。
そしたら出来る様になるんですよ。絶対に。僕も肉の筋なんて引けなかったけど、今見たら部位がどこか分かるし、切れるし、できるようになるんです。皆さんも。
寿司という一つの分野を極めるのも大切だと思うし、その伝統を守る必要もあると感じています。ただ、外国で寿司を学ぶことはほぼ不可能です。ニュージーランドに限って言えば。良いお寿司屋さんが少ないですし。
銀座のカウンターの寿司屋さんのような10席しかなくて、一人3万、4万円とる店をやりたいと思ったとして、それをニュージーランドに行ってから学べる買ったら絶対それは学べないんでそういう風に思ってる人は絶対に日本でやるべきです。