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寿司職人の需要が高い!オーストラリアで永住権取得した卒業生に海外就職事情を聞いた

20代の頃8年住んだシドニーに、震災などをきっかけに戻る決心をした上村さん。東京すしアカデミー受講中に就職活動をし、その後シドニーの人気回転寿司店の店長をまかされるほどになりました。この度日本一時帰国の際に、在校生にオーストラリアの寿司事情を語ってくれました!

編集部:お名前と東京すしアカデミーを受講した時期とコース名を教えてください

上村さん:上村和裕といいます。2013年2月に卒業したシェフコース5期生です(※現在のインターンコースにあたる1年間のコース)

編集部:現在働いている国と働いているお店の名前、またどんなお店なのか教えてください

上村さん:オーストラリアのシドニーにある、Sushi Train Dee WHY店で働いています。オーストラリアで最初に回転寿司を導入したSushi Trainのフランチャイズです。

シドニーは思い出の地

編集部:どうしてオーストラリアだったのですか?

上村さん:20代の頃、学生とワーキングホリデーを合わせて約8年シドニーに住んでいました。結婚後日本のインターナショナルスクールで昼食を提供する仕事をしておりましたが、リーマンショック、東日本大震災などがあり、かなりの生徒が自国に帰国してしまい、経営も圧迫していました。

その頃、小さい娘が一人いて、将来日本語と英語両方学べる環境を与えたかったこと、また妻とシドニーで知り合った経緯もあり土地勘、知り合いもいること、季節は逆ですが四季もあり自然の環境もいい、何より色々なチャンスを掴めると思い、これを機にシドニーに家族で移住する決意をしました。

編集部:卒業後現在のお店で働くことになった経緯を教えてください

上村さん:東京すしアカデミー在学中の冬休みに、飛び込みで現地に行き何とか雇っていただける会社を探していたら、いろいろな方の縁でSushi Trainの親会社であるSushi Samurai Groupの近藤社長にすぐ面接して頂き、採用、ビジネスビザをサポートして頂きました。

編集部:現在と働き始めの頃と比べ、どんな心境の変化がありましたか?

上村さん:働き始めた頃は右も左もわからない状態で、とにかく習ったことを吸収すること、また一つのセクションを他の人の助けを無しに成し遂げることで精一杯でした。正直、視野も狭く、お客様を見るという気持ちが圧倒的に欠けていたと思います。

現在は普段のオペレーションだけでなく、より多くのお客様にリピーターになって頂くためにはどうすればいいかを考え、行動出来るようになりました。お客様から美味しかったよ、いいサービスだったよと言われるようになり、それが本当に励みになります。

編集部:平均的な一日の仕事内容を教えてください

上村さん:セクションがいくつかありそれぞれ違うのですが、平日の平均的な刺場の例となります。

9:30仕事スタート
検品、まな板セット、ねたケースなどの準備。サーモン、マグロ、カンパチなどを刺し身、握り用に切りつけ開店10分前になったら握る準備。

11:00開店
寿司を握りレーンを完成させていく。ランチピーク前後に手が空いたら残りの切りつけ、まぐろたたき、かつおたたきの切りつけをする。

14:00アイドルタイム
サーモンの柵取り、レーンの入れ替え、夜の営業準備等をして休憩。休憩後、レーンの寿司を見ながら仕込み等をする。

17:00夜のピークが始まる
レーンに負けないよう寿司をどんどん作る。閉店間際、手が空いたらサーモンの柵取や発注をする。

21:00 キッチンクローズ・片付けを始める
21:30 閉店
22:00 仕事終了

オーストラリアでは握りよりもロールの方が人気

編集部:お店の人気メニューを教えてください

上村さん:一番人気があるのが、なんと餃子(笑)もう、半端なく出ます。餃子のDEE WHYとか揶揄することも普通にあります。

また、オーストラリアでは握りよりもロールの方が人気で、DEE WHY店で特に人気があるのはSalmon Volcano Ship、Crunchy Tiger Prawn Roll、SAO (Salmon, Avocado, Onion) Rollです。

また生魚が大好きな現地の人は確実に増えています。やはりサーモンの握りが一番出ますが、マグロやかんぱちも人気があります。

シドニーには日本の築地市場に次いで世界で2番めに取扱品目の多い魚市場があります。しかし、鮮度は日本のそれにはまったく及ばず、寿司店で使うネタを幅広く揃えるのは大変です。よって創作系のメニューを増やすなど工夫してお客さんにアピールしています。

外国人のスタッフは日本のメニューに馴染みが無い

編集部:現在働いている国ならではの体験談を教えてください

上村さん:沢山あり、どれも貴重で楽しいことなのですが、例えば、外国人のスタッフは日本のメニューに馴染みがありません。例えばIkuraとOkuraを聞き間違えたり、Spring Roll(春巻)を巻き物のセクションに通したりと、想像もつかない面白い間違いをします。

他には、親日家の現地のお客様が日本語に挑戦で“サーモンニギリ、ヒトツ”と日本人スタッフに伝えたところ、”One Salmon Nigiri”と英語で返されたり、“いらっしゃいませ”とスタッフが言うと、お客様も“Irasshaimase”と言って和んだりします。外国にいるからこそ起こりうる色々な事件はすごく楽しいです。

オーストラリアの寿司職人の需要は高まっている

編集部:現在どのようなビザをお持ちですか?

上村さん:昨年9月に永住権を取得しました。

編集部:オーストラリアの就労ビザを取り巻く状況は現在どうでしょう?

上村さん:オーストラリアでは毎年7月にビザに関する法律が変わります。失業率が上がっているのでビザの取得は前より難しくなってきてはいますが、寿司職人の需要は高まっており雇用はあります

昨年の法改定でMedium and Long-term Strategic Skills List (MLTSSL)とShort-term Skilled Occupation List (STSOL)の2つのビザの種類が導入されました。専門性や熟練度によって職種が2つにふりわけられており、永住権を申請し得るのはより高度なMLTSSL保持者になります。

また、上記のビザ取得には英語の試験(IELTS)は必須です。点数が取れなければ企業側はあなたにビザをスポンサーしたくても出来ないので、今からでも準備を始めることを強く勧めます。また、企業はあなたのビザを取得するのにお金と労力をかけていますので、すぐに辞めない事もマナーです。

編集部:今後の目標を教えてください

上村さん:将来は独立して自分のお店を持つことが目標です。その時は是非、皆さんのお力を僕にください。

編集部:海外就職を目指している方にアドバイスをお願いします

上村さん:どの国に行くにせよ、その国の言葉を習い、コミュニケーションが出来るよう意識して話すことです。その言葉が完璧でなく言葉を数語並べただけでも、何も喋らない人より遥かに素晴らしいことです。

上村さん:海外だから日本より楽だという考え方は捨ててください。海外だからこそ大変なところは沢山あります。また、日本での当たり前が通じない、やり方が違う、と思うことはよくあることです。謙虚に現場でのやり方に従って、疑問があれば質問する、ということを意識してください。

寿司の技術ももちろん大事ですが、それ以上にこれらのことが大事なことだと自分は思います。皆さんが希望の国に就職され、活躍されることを心より願っております。

編集部:インタビューへのご協力、ありがとうございました!

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