海外で求めれるのは包丁よりも巻きの技術!海外で働く現役寿司職人の一問一答:川島さん②
東京すしアカデミー卒業生の川島さんから在学生に体験談を語って頂きました!
■川島さんのプロフィール
・2010年:週末6ヵ月コース(現在は11ヵ月)を卒業。
・国内回転寿司系2件で都合2年就業後、別の仕事をしながらFacebookで海外寿司職人就活。
・2015-2016年:パナマの寿司店に就業
・2016年8月~2017年8月:オーストラリアのコールドコーストの寿司店に就業
・2017年9月~ マルタの寿司店との3年契約
先週はの「川島さんの海外寿司職人 夢ロードは続く!」と題して、川島さんのパナマ、オーストラリアでのご体験とマルタへの抱負を語って頂きました。
今週は、東京すしアカデミー現役の生徒さんからの質問に川島さんから忌憚なくお答え頂いた内容をお送り致します!
なかなか聞けない?! 海外で働く現役寿司職人の本音!
質問: 日本の回転寿司で何年くらい修行されたのですか? また海外に行くにあたり調理師免許は取られましたか?
川島さん: 日本では2件の回転寿司系のお店で各1年働きました。調理師免許はその期間に取得しました
質問: 日本での就業体験は、海外で寿司職人として働く上で役にたっていますか?
川島さん: とても役に立ちました!日本の飲食店の効率の素晴らしさを身をもって体験しました。特に仕込みの段取りの良さはすごいと思います。多少なりとも日本で経験していけば海外でも十分対応できると思います。
質問: 海外は和食レストラン形態が多いという印象がありますが、寿司以外に要求される技術はありますか?
川島さん: はいあります。海外では、ロール、握り、ラーメン、蕎麦、天ぷら何でもアリです。私の場合、実は日本での揚場とシャリ炊きの経験が最も役だっています。付け場が花形ではありますが、裏方をいかに早くこなすかが評価に繋がることもあります。
質問: 欧州は包丁はステンレス主流と聞いていますが、日本の鋼の包丁を持っていくとアピールの材料になりますか?
川島さん: うーん、あまりアピールにはなりませんね(笑)。海外ではアボカドや鶏などを切るので、鋼の柳葉はすぐ錆びてしまうのでステンレスをおすすめします。
包丁より、海外で求めれるのは、巻きの技術です。裏巻き、海苔なし、ライスペーパーなどなんでも巻ければ即戦力扱いですよ!
質問: 10年以上寿司職人の経歴があればアメリカでビザ取得が容易になると聞いたのですが、実際はどうでしょう?
川島さん: お店の規模と自分の経歴が合致すれば労働ビザがおりやすいと思いますが、2-3人規模の店だと移民局から労働ビザをおろせる店ではいという評価を受けるかも。
日本人に労働ビザを出した実績がある店か、事前確認することをおすすめします。
質問: 海外ではスピード重視とおっしゃってましたが、早さ重視で技術が疎かになることはありませんか?
川島さん: 最初はそうでした(笑)。回転寿司は一周3分で回るのですが、その間に海苔巻きが開いてしまうことがあって・・・オーナーから怒られたこともありましたが、徐々に技術を伴った早さ維持ができるようになります。
質問: 海外寿司職人に応募する際の心がけとして重要なことはありますか?
川島さん: うーん、自分は割と楽観主義で行き当たりばったりだったかもしれません(笑)。ただ、この国で働きたいんだ、という気持ちを強くアピールすることが大切かと思います。
質問: 海外での寿司職人としての労働時間はどのくらいでしょうか?
川島さん: 私の場合、オーストラリアでは1日12時間(うち休憩が1時間)、パナマでは15時間(うち休憩が2時間)、どちらも週6日勤務でした。
出勤は朝8:30、家につくのは24:00ちかく、12時間労働はあたりまえの感覚でした。永住権のある正社員も12時間労働(うち1時間休憩)が普通ですので、海外挑戦する方は体力が必要です!
質問: 12時間労働に見合う報酬を得ていると思いますか?
川島さん: 正直、金銭面での迷いはないですね(笑)。今のところ、「寿司職人として海外で成功したい」が第一前提、技術も着実に向上している実感があるので12時間労働も週6勤も苦にはなりません。
そして、「Thank you for Waiting」といってお寿司をお出ししたときのお客様のすごい笑顔は、金銭の問題ではなく、気持ちが高まります。
質問: 日本で寿司職人をすること、海外で寿司職人をすること、の違いは何でしょうか?
川島さん: 日本では新鮮な魚介類が入手しやすいですし、何といっても言葉が100%通じることが大きいです。海外では、言葉が通じなくても、自分の作ったものに笑顔がもらえることがうれしいです。
海外では日本のように労基法に守られているわけではありませんので、寿司職人の労働時間が長いのはあたりまえ。郷に入ったら郷に従えで、いかに忍耐できるか、いかに初心を貫徹できるか、その先に道が開けると感じています。
編集後記
現役学生の皆さんの海外寿司職人への「憧れ」にある意味、水をかけるような川島さんの実体験に基づく生の声。しかし真剣に聞き入る学生たちの瞳は輝き、先輩の声を一言一句逃さないという気概を感じた。
「郷に入ったら郷に従え、一番の敵は自分、自分がいかに我慢、忍耐できるか、いかに強くいられるか、そこに道が開ける」、と語る川島さんに侍スピリットを感じたと同時に、ハワイの地で活躍する川島さんの姿を思い浮かべていた。