夫婦でマレーシア移住!寿司職人夫婦が海外移住を決断した理由:丸島夫婦①
東京すしアカデミーを卒業後、ご夫婦でマレーシアに移住し寿司職人としての経験を積まれた丸島さんご夫妻。マレーシアでの勤務を終え、間も無くドイツへの移住を予定されています。
世界をまたにかけて活躍する寿司職人夫婦の海外移住の第一歩についてインタビューしました。
プロフィール
丸島正成さん:前職は農と食、協同組合関連の取材を専門にしていた編集記者。食に関する記事を執筆する中で「寿司」が持つ可能性を確信し、また妻の海外移住への強い思いに後押しされ入学を決めた。飲食業は未経験で入学、マレーシアで初めて飲食業の世界へ。
堀 咲子さん(※堀は旧姓):前職は日本語教師。国内だけでなく、海外数カ国でも教鞭を執った。日本経済に陰りが出てきたことをきっかけに、海外における日本語学習の需要が低下。日本語教師として就労ビザを取得できる国も限られてきたため、改めて海外就職を視野に入れた転職を決意した。
編集部:東京すしアカデミー入学のきっかけを教えてください。
正成さん:初めから積極的に海外移住を考えていたのは妻の方でしたが、その意志に引っ張られるように、私の気持ちも固まりました。今ある仕事を手放して、新たに仕事を見つける前提だったので、不安が多かったのは確かです。
だから、東京すしアカデミーの説明会へ足を運び、きちんと情報収集しました。僕の方が妻より先に入学しましたが、まずは当時の職場で働きながら通えるコースを、と土曜日コースを選択しました。
それでこれは良いと思って、妻に薦めたんです。二人で一つ一つ決断を重ね、共有していくうちに、夫婦の足並みが揃っていきましたね。
在学中に学んだこと
正成さん:私は飲食業に関して全く未経験だったので、全てが新鮮でした。特に講師の方々から得られる、海外ではこんな寿司が好まれる、こんな技術が求められる。
というような「海外で働くことを考慮した具体的なアドバイス」が非常に役に立ちました。「海外移住」という意識を、授業を通して高めることが出来たと思います。
咲子さん:在学中は、同じ志を持つ仲間がいたことが励みになりました。私が知らないことを色々と学ばせていただき、人脈形成、情報交換が出来る環境があったことが、私にとって一番のメリットだったと思います。クラスメイトの中に外国人がいらっしゃったので、海外の生きた寿司事情を知ることも出来ました。
35歳、子持ち夫婦という条件を乗り越える
正成さん :35歳、子持ちの家族連れ、調理未経験…ぱっと思い浮かんだ限りでは条件は揃ってないですよね(笑)。頼れるものは、東京すしアカデミーで習得したことのみ!
独身で20代、という条件ならば思い切って出来たことも、家族連れでは厳しいというのも確かにありました。あえて言えば、妻が長らく海外に住んでいたこと、私もバックパッカーとして世界中を旅した経験があり、それらが無理をせずとも外国で何とかやっていける自信につながったと思います。
転職先が決まらず焦る
咲子さん:最初は色々と情報収集して、色々な国の求人にたくさん応募したのですが、不採用通知が次々と届いて…。こちらから選べるような状況ではありませんでした。
数カ国から採用のお話がちらほら出てきたと思ったら、就労条件が全く合わなかったり、ちょっと信じられない条件を提示されたり。なかなか決まらず大変でした。
転職活動に必要な期間は十分とっていたつもりでしたが苦戦しましたね。小さい子どもがいて、しかも、夫は会社にもう辞表を出してしまっていて…。相当焦っていたのは事実です。
正成さん:そんな中、運が良かったと言うのでしょうか。マレーシアは子育ての環境も整っているようだし、いいなぁと思っていた矢先、採用の話がトントン拍子で進みました。
妻がディプロマコースの卒業式を迎える、ほんの数日前に2人そろって採用が決まったんです。ワラをも掴む思いだったので、心底ホッとしました。
まずは日本での経験を!?
正成さん:もちろん寿司の本場は日本ですから、技術が磨けるなど大きな利点はあります。ただ、最終的な目標が「海外就職」ならば、「迷わず行けよ 行けばわかるさ」と強く勧めたいですね。
私は日本で修行を積んでから海外へ、という考えはまったく念頭にありませんでした。海外の文化は、日本とは違います。日本で評価されたことが、海外では通用しなかったりする。
そうかと思えば、飲食業未経験でも、肌に合う新天地でメキメキと力をつけていく…。そういうことが起こる世界なんです。
咲子さん:それは同感です。現地の日本人社会に入ると、自然と日本的ルールを強要されることもありますが、自分の見た限り、異文化の中で日本のタテ社会を無理に当てはめようとしたら、現地スタッフとの人間関係を築くのが難しくなります。
日本のやり方をそのまま海外に当てはめようとしても、上手くいかないことが多々あります。型にはめることばかり考えると、海外暮らしは苦しくなり、継続出来なくなります。
「適応力」「柔軟性」「寛容性」が不可欠だと思いますね。日本語教師になったとき、日本語教師養成学校で勉強してから働き始めた頃も、同じような問題に遭遇したのを思い出します。
つまり、資格は取ったけれど、日本でまずは経験を積んでから海外に出て行った方がいいのかどうかという問題です。私は寿司職人と日本語教師には共通点があるように思います。
自分自身、「国内就職」と「海外就職」で求められるものは違う、という考えの元に決断してきたので、日本での経験は必須ではないと考えています。海外で暮らして働くなら「柔軟な対応力」を身につけることが大切だと感じます。