動画でマスター!太刀魚の3枚おろしと握り
夏の魚 太刀魚
太刀魚(タチウオ)は世界中の亜熱帯、温帯海域に棲息する魚で、見た目の形から「太刀魚」と付いたと言う説と、獲物を獲る際、なんと立ち泳ぎをして襲い掛かる事から「立魚」と呼ばれるようになったという説とあります。
タチウオには一般的な魚とは違う大きな特徴があり、背びれが頭の部分から尾にかけて途切れることなく続いている事と、腹ビレや尻ビレがなく、尾ビレも背ビレの延長にひも状に伸びているだけです。
普段の泳ぎ方は蛇のように体をくねらせて泳ぎますが、獲物を狩る時は頭を上にして立ち泳ぎもします。北海道から沖縄まで日本では広く分布していますが、漁獲されるのは本州中部より西が多いです。
見分け方
鮮度が悪くなると表面の銀色が剥げてきます。擦れがあったり、少し剥げている位の方が脂がのっています。お腹の部分から悪くなりますので、お腹の肉厚でわかるので触ってみることが必要です。お腹が割れていないものを選びましょう。
身を開く
頭を落とす際は出刃包丁を使用します。ウロコは退化しているので気にしなくて大丈夫です。
1.歯がしっかりあるので気をつけます。
2.出刃包丁で頭を真っすぐおとします。
3.肛門から腹先の部分まで切り離します。
4.切り開き中の内臓を取ります。簡単にとれます。この時に浮き袋と血合いを取り除きます。包丁でほとんど取れます。
5.腹側の黒い幕も一緒にとりましょう
太刀魚は焼き物に使えます。焼き物として使う場合「腹の終わりあたり」が身の肉厚があり脂ものっているので美味しいです。頭の方は肉があまりのりません。
6.お腹の部分を洗います。塩水を使うと良いです。本体も幕の部分を外しましょう
三枚おろし
身は上身、下見と呼ばれます。まずは下身の腹側から。この時使用する包丁は、出刃包丁ではなく「柳刃包丁」を使用します。身が薄い為、刃の幅が無い方が良いからです。
1.下身からおろします。腹から脊髄まで切り込みを入れます。このとき、刃先が脊髄まで当たっている感覚をもちながらしっぽまでおろします。
2.ひっくり返して、背中側のひれぎしから包丁を入れていきます。切り込みを1回入れます。身が薄い魚なので、「しのぎの角度」をしっかりキープできるように気をつけましょう。刃先を脊髄にあてながら、刃元は切れ込みに合せて包丁を動かしていくことが重要です。
3.しっぽ側を繋がっている脊髄の部分で切り落としてから頭の方までそのまま「しのぎの角度」に合せてもっていきます。
4.腹側と同様に背側もおろします。この時のポイントは刃先が脊髄にあたる感覚をもちながら、1回目に入れた切り込みに合せると「しのぎの角度がフラット」になり頭の方まで卸すことができます。
5.ここまで一通りおろせたら、反対側と繋がって切り離せます。中骨はペラペラの状態になります。
これで三枚おろしは完成です。
切付け
湯霜又は焼き霜後、切付けの工程に入っていきます。基本はこのまま使いますが、物が悪い場合は塩を少し振ってあげると臭みが取れます。お腹の部分は薄いので、がんばらを取るときは注意しましょう。
1.手柵で3つ分使いやすい大きさに切っておきます。真中に薄く骨がありますが、あたる骨は無いのでこのまま切付けて大丈夫です。
2.切付けをする場合に、頭の方から使うとして斜めに切っていく方法と皮だけ残して皮を引きながら切っていく方法があります。今回は後者の方法で切りつけます。
3.皮をひきながら、皮だけ残してきりつけます。
切った身を並べて重ねていきます。太刀魚の魚体がしっかりしている場合は有効な方法で、他の魚ではハモでよく使用されます。
4. 3センチ幅で切り込みを入れたものも準備します。バーナーで炙ります。炙ると身が一度戻り美味しくないので、中途半端ではなくしっかり炙ります。
握り
【縦横に線を入れたもの】
このまま握って大丈夫です。太刀魚は焼き魚で食べても美味しい魚ですので、皮目を上にして握ります。香ばしさだけを残すのであれば皮目を下でも大丈夫ですがしかしコリコリした触感が特徴ですのでしっかり包丁が入っていないと固くなってしまいます。
【切り並べ炙ったもの】
握る技術が難しいです。 大葉を使うと綺麗に握れます。ポイントは横返しではなく、<縦返し>で握ることです。最後に皮引きしたものも握り、完成です!太刀魚は柚子こしょう等とも相性が良いですので試してみてください。