オーストラリアで永住権「日本人なら寿司ができるんでしょ?」に火が付いた
寿司シェフコース2期・卒業生 加藤優幸さん 座談会
2017年5月12日、オーストラリアで寿司職人として活躍する卒業生の加藤優幸さんに
現地の寿司ビジネス事情をお話していただきました。
加藤優幸さんプロフィール
1985年生まれ、31歳。
2009年、学生ビザでオーストラリアに渡り、調理学校に2年在籍、西洋料理を学ぶ。
2010年に東京すしアカデミー寿司シェフコースに入学。
翌年9月、優秀な成績で東京すしアカデミーを卒業。
その後再度オーストラリアへ。現地の回転寿司大手チェーンに勤務し
店長を務めた後、現在は永住権を取得。
ケアンズの和食レストランで寿司職人として働いている。
*「寿司シェフコース」は2017年8月〜「寿司職人養成インターンシップコース」に名称変更します。
寿司に興味を持ったきっかけは?
調理学校を卒業後、オーストラリアで就職活動をする中で「日本人シェフならお寿司、天ぷら、すき焼き、当然全部できるでしょう」と言われたんです。これをきっかけに、自分が「寿司」を握れないことをネックに感じるようになりました。
この気付きをチャンスと捉え、日本に帰国し、東京すしアカデミーに入学しました。さらに東京すしアカデミー在学中に、オーストラリアで寿司ビジネスに関わる仕事をしている方に出会ったこともきっかけとなり、卒業後はワーキングホリデーで再びオーストラリア・ケアンズへ渡る決意をしました。
永住権を取得するまでの経緯を教えてください。
東京すしアカデミー卒業後に、ワーキングホリデービザを取得し、オーストラリアに渡りその後ケアンズの寿司チェーン店に店長候補として採用されました。
私が永住権を取得するに至るまでには、年月も掛かりましたし、様々なステップがありました。オーストラリアで求められる仕事の技術を磨くこと、高い英語力、正確な情報の収集力、忍耐強さも求められます。
オーストラリアの寿司マーケットの状況は?
オーストラリアの寿司マーケットはとても活気がありますし、現地の寿司職人の求人も豊富に出ています。ただ、海外では即戦力として扱われる傾向があるうえ、寿司マーケットは参入者が多く、競争が激しくなってきている市場でもあります。
オーストラリアでの就職を希望される方は事前に寿司の技術をしっかりと学んで、基盤を作っていくことをお勧めします。
オーストラリアで「寿司」のイメージは?
オーストラリア人にとって、寿司は「ヘルシーな食べ物」というイメージが強いようです。生魚に関しては、サーモン、マグロはよく食べられています。わさびも受け入れられています。
ただ、マグロは赤身しか食べないという人が多いです。日本人の好物の”トロ”も、オーストラリア人にとっては、「もっと赤身の部分を食べたいのに物足りない」となることも。風味を味わうというよりも、かなり濃い味付けが好まれるなど、日本人との味覚の違いもあります。
繊細な和食の味を伝えられたらと思う一方、現地のニーズに柔軟に対応することも必要だと考えています。その国の食文化を理解することは大切ですね。何と言っても、和食の人気不動NO.1は『寿司』。
様々なリクエストに答えるために、寿司以外の和食、例えば天ぷら、照り焼きなど、海外で人気の和食を学ぶことも、後々役に立つかもしれません。
ケアンズの住み心地は?
ケアンズは一年中気候が穏やかで、住みやすいですよ。日本での文化、生活との違いに戸惑うこともありますが、人もおおらかで、居心地が良いです。働く環境としても恵まれていると思います。
シドニーやメルボルンなどの大都市に比べると、やはり生活費も抑えられますし、ある程度余裕のある暮らしが出来るのではないでしょうか。寿司職人として思い切って海外に飛び出したことで、心にゆとりのある暮らしが手に入れられました。
加藤さん、ありがとうございました!海外で寿司職人として生きていきたいという夢をかなえた加藤さん。益々のご活躍を!東京すしアカデミーでは定期的に卒業生による講演会を開催しています。
在学中に海外で活躍する卒業生とつながることで現地の情報を得たり、就職の機会を得ることもあります。海外就職希望の方はこうした卒業生ネットワークを是非活用してください。
ビザに関する補足情報
(東京すしアカデミー記)
今後オーストラリアのビザに関して様々な変更点が発生すると言われており、注視が必要です。今のところ、ビザ取得に際する審査は、厳しくなる傾向があります。
将来のビジョンに応じて、自分にはどのビザが適しているのかをしっかり判断しましょう。準備として、資格の取得も有益です。例えば日本で調理師免許を取ることも考えると良いでしょう。
大使館ビザ情報はこちら
以下は、在日オーストラリア大使館HPより引用
2017年4月18日に、オーストラリア政府は2018年3月からテンポラリーワーク(Skilled)ビザ(サブクラス457)を廃止し、新たにTemporary Skill Shortageビザ(TSS)を導入すると発表しました。TSSビザは最長2年までのShort-Term stream (短期間ストリーム)と最長4年までのMedium-Term stream (中期間ストリーム)の2種類で構成され、高度人材が不足しているビジネスをサポートし、オーストラリアの労働を優先・保護する役割を果たします。