頑張れ東北!大船渡町で出会ったお寿司屋さんの切なる思い
震災から5年。
ニュースで見る被災地はあの時から大きく様変わりしているようですが
まだまだ本当の意味での復興とは言えない状況が続いています。
さて、これはスタッフが震災の翌年、大船渡のお寿司屋さんに伺った時のお話です。
このお寿司屋さんは沿岸部にありますが坂を登った場所にあり
津波がギリギリ店舗の手前5メートルの場所で止まり
九死に一生を得たということでした。
50代くらいのご夫婦で経営しているカウンターのお寿司屋さんで
おかみさんがお話してくれました。
「私たちは不幸中の幸いでこうして店舗も営業出来ているからまだ前を向いていけます。
一番辛いのは、生き残ったのに帰る家もない仕事もないという人たちでしょう。
政府から支援金が出て生活はできるかもしれないけど
生きがいを失った人が一番辛いんですよ。
何度もこのお話をしてきたのでしょう。おかみさんは毅然とした様子でこう続けました。
「この寿司屋が私たちを救ってくれたんです。
私たちは寿司屋をやっている限り、お客様に忘れられることなく応援していただける。
こうして全国からいらしたお客様にお話をできる。
でも、震災のことはどんどん忘れられていくでしょう。それがたまらないんですよ。
どうか、物見遊山でもいいからこれからも私たちの街に来て欲しい。
ここに海がきれいで魚の美味しい豊かな街があったことを忘れて欲しくない。
東京に帰ってお友達に伝えてください。お願いします。」
そう言われた時に胸が詰まる思いでした。
私自身も何ができるかわからないまま、つい大船渡に来て
観光気分でお寿司をつまんでいたのかもしれません・・。
でもおかみさんは「来てくれるだけでありがたい」そう確かに言ってくださったのです。
今でもこのお寿司屋さんには全国からお客さんが訪ねてくるそうです。
寿司が繋ぐ希望。東北の港町にはそんな思いで続くお寿司屋さんがあるのです。
みんなができる復興のお手伝い、
それは「忘れないこと」「会いに行くこと」なのかもしれません。