銀座の高級店で経験積みバンコク店の立ち上げメンバーとしてタイに渡り活躍
寿司シェフコース3期卒業生の佐々田友規さん(37)にお話を伺いました。
佐々田さんは現在銀座の高級寿司店で勤務されており、バンコク店の現地立ち上げメンバーとしてタイに渡っています。
---東京すしアカデミー入学前は何をされていましたか?
大学は考古学の専攻で卒業後はしばらく遺跡の発掘をしていました。その後飲食業界に転身し居酒屋の店長などを経験しました。そこで日本の飲食業界は国内での出店が厳しくなっていると感じました。
---寿司職人を目指したきっかけは?
当時習っていた英会話の先生に日本人が海外で働くなら寿司職人になればビザが取りやすい、と聞いたのをきっかけに、いろいろインターネットで調べ、そこで見つけた東京すしアカデミーの福江校長のセミナーに参加しました。そこで改めて海外での寿司ブーム、寿司業界の可能性を感じました。
---在学中のことについて教えてください。
居酒屋で働きながらの通学でしたので、ほとんど寝ていなかったと思います(笑)体力的にはかなりきつかったと思いますが、先に夢が見えていたのでつらいと思ったことはありません。
実技に関しては得意なほうだったと思います。苦手な分野は授業のあと残って練習して補いました。
東京すしアカデミーに通ってよかったと思うのはすし店で働くために必要な技術、一連の基礎が身についたことです。「さばく、しめる」などの基本的な技術、魚から貝まですし屋で扱うネタのほとんどの仕込みの仕方を実践で学ぶことが出来ました。
---クラスメイトとの交流はありましたか。
卒業後3年たっても連絡をとりあっています。同級生が世界中にいるので、各国の状況など情報交換をできてとても助かっています。東京すしアカデミーでこうした友人とのネットワークを得たことは技術以上にありがたいものだったかも知れません。
---語学は勉強されていましたか。
海外で働きたいという考えは昔からありましたので英会話は以前から習っていました。特に寿司職人は、ただ美味しい寿司を出せば良いという仕事ではありません。
寿司屋の場合、自分という人間を知ってもらう必要があります。「あの板前がいるから」とまた来てくださるお客様が多いのです。
外国人のお客様にそう思っていただくためには、やはり外国語の習得は必要不可欠だと思います。
---これから海外を目指す方にアドバイスをお願いします。
行きたい国にもよりますが私はアジアでの経験があるので主に発展途上国で日本人が働く場合についてのお話をします。実はアジアや発展途上国では日本人が寿司職人の仕事を見つけることはさほど困難ではありません。
問題は長く続けられるかどうかなんです。日本人と現地のシェフでは給与に大きな差が出ます。日本人を受け入れたレストランでは、現地の方が見よう見まねである程度のことができるようになります。
中級以下のクラスの寿司レストランだと、日本人と変わらないなら現地のシェフで良いという判断になることが多いのです。「働き始めるは簡単、その土地で続けることはとても難しい。」厳しいようですがこれが現実です。
海外を目指す方は、現地でも必要とされるだけの職人としての核を磨くことが必要になると思います。
---改めて日本で就職活動された理由を教えてください。
私は最初に勤めたマレーシアのすし店での契約を3ヶ月で満了し、帰国して日本で就職活動をしました。「日本の料理とは」「日本食の食材とは」といったことを日本を代表して発信するのに自分の技術や経験に裏打ちされた知識がまだ足りないと考えたからでした。
学ぶためには、日本でもトップクラスのネタや職人がそろった店で働きたいと考えました。日本の老舗、しかも高級なすし店で働くことを希望しました。
やはり銀座の高級店にはいろいろなお客様がいらっしゃり、学ぶことが多く、少し職人としての核が身についたように感じています。これから海外で寿司職人として働く方には日本でしっかり本物の寿司を学ぶことをおすすめします。
---佐々田さん、インタビューへのご協力ありがとうございました!
現在働く銀座の高級寿司店がバンコクに支店を出すことになりその立ち上げメンバーとしてタイへ行くことになった佐々田さん。日本で職人としての核を得た彼がタイで握る寿司はさらに厚みを増していることと思います。