年収750万円!未経験から海外就職を実現した小さな国の寿司職人 笠井さん
笠井豪太さんは2ヶ月コース122期の卒業生。スイス移住を実現させるために志した寿司職人への道。未経験ながらクラスでも好成績を収め、見事隣国のリヒテンシュタインでの就職を実現した。
少しの不安と大きな期待
私はスイスへの移住のために寿司を学ぶことを決めました。というのも実は私の妻はスイス人で実家もスイスにありますので、生活面や子育てをするにあたってスイスの方が環境がいいのではと考えたんです。
スイスは給与水準も高いですしね。じゃあ実際にスイスでできる仕事は何か。日本で持っている資格はほとんど通用しないと思いましたので、何か武器になる技術を身に着けようと思ったんです。自分なりに調べて得た答えが寿司だったんです。
とはいえ、受講はすごく悩みました。受講料の他に地元大阪から東京への移動費や生活費など、色々とお金がかかるなあって。それに調理も未経験でした。
それでも、叶えたいスイス移住への近道だと思いましたし、受講にあたっての出費は投資で、これから稼いで取り返せばいい。そんな風に、不安要素よりもメリットに目を向け入学を決めました。
小さな国の寿司職人
現在はスイスとオーストラリアの中間であるリヒテンシュタインという小さな国で働いています。日本でいうと屋久島とか小豆島くらいの大きさで、1時間あれば自転車で一周できてしまうような小さな国です。
自然に囲まれた豊かな環境です。通貨もスイスフランで、スイスまでも電車ですぐ行けますよ。スイスは所得が高いことで知られていますが、リヒテンシュタインの平均所得はさらに高いです。
この国のメインの産業は企業誘致なので職も得やすく収入も安定しているようです。僕の仕事はそんな小さな国の博物館の中にあるカフェで寿司を作ること。カフェで寿司を出すなんて変わっていますよね。
でも結構注文多いんですよ。こんなに寿司がブームになるなんて10年ほど前には考えられなかったと地元人のオーナーもよく話しています。
日本との違いを受け入れること
店ではシャリ炊きから始まって、切付け、巻物、握りなど一通りのことをやらせてもらっています。すしアカデミーで習ったことは海外でそのまま役に立つんだなあと実感しています。
ただやはり日本とは環境が違うので物足りなさを感じたり苦労したりすることもあります。例えば、魚の種類。
スイスやリヒテンシュタインは元々肉食文化なので日本のように豊富な魚介類は手に入りません。タコとイカを同じ言葉で表現するんです。それくらい魚に対しての認識が薄いのです。
あとは、道具をそろえるのにも苦労します。日本では木製の飯台(シャリとお酢を混ぜる桶)を使用しますが、こちらでは衛生の観点から木製の道具は使えません。
ステンレスのボウルでシャリを作りますし、まな板もプラスチックのものを使います。日本の伝統スタイルにある程度のこだわりを持つことは必要ですが、海外で働く以上は現地にあるもので精一杯のパフォーマンスをする方法を考えるのも重要です。
移住して叶えた夢のような生活
リヒテンシュタインで働き始めて1年以上が立ちますが、仕事も生活も充実しています。この国の給与水準は平均的に高いですが、特に寿司職人の給与は高い傾向にありますね。
だいたい日本円で750万円程度の年収が期待できます。(2016年12月現在のレート換算)もちろんその分物価は高いですが、家賃も東京とそこまで変わらず生活水準も高いと感じます。
私が住んでいるところはかなり安いほうで日本円で7万5千円くらい。場所にもよりますが2DKで15万円程度は見ておいた方がいいと思います。国全体が比較的恵まれた生活をしているので治安も良いですし、格差社会によくある暗さも感じません。
子供達はすれ違う人みんなに挨拶をしますし、民度が高いなと思うことが非常に多いです。あとは旅行もすごく楽しい。ヨーロッパ諸国にすぐに行くことができるなんて夢のようですよ。
東京から山梨に行くくらいの感覚でフランスに行けてしまうんですから。
アンテナを敏感に
私と同じように寿司を学んで海外に行きたいと考えてる方は沢山いると思いますが誰もが越えなければならない壁はやはりビザです。
どの国でも同じようにビザ取得には苦労すると思うのですが、リヒテンシュタインにおいては一回に受け入れられる日本人の数が制限されています。元々移民を受け入れていない国ですからね。
ですが調理師のような専門職であれば認められやすくなります。私がこっちで出会った日本人は、日本企業の駐在員、現地の方と結婚された方か調理師の方だけです。
また、スイスやリヒテンシュタインでビザを取得するためには、専門職であることを証明する資格を持っていることが重要です。調理師の場合には調理師免許ですね。
私もすしアカデミー卒業後に改めて勉強し、資格を取得しました。国や地域によってどんな要素が有利に働くのかは違いますので、行きたい国の情報は敏感にキャッチすることをお勧めします。