卒業証の影響力に驚いた!海外就職に寿司職人は有利:佐藤秀和さん(ドイツ・ニュルンベルク)
前回、在校生の時にインタビューに答えていただいた佐藤秀和さんの卒業後の活躍についてお話しを伺いました。
— いま、どちらに住んでいますか? —
ドイツの南部にあります、ニュルンベルクという都市の 『ヒロ坂尾』という店で働いています。
— 今の1日の流れを教えていただけますか。—
出勤がだいたい午前10時くらいです。昼間は、営業はしていますが自分はその時間は裏の仕込みの方を担当しています。野菜、キュウリやアボガド、大根、ツマなどの材料を仕込みます。
あとは週に3回、魚が届きます。現在、店で扱っているのは5kgクラスの大きなサーモン(生)とヒラメとタイとスズキです。特にサーモンは1回に20匹ぐらい、非常に大きい発泡スチロールで来るので、そのウロコを取るところから始まり、 捌いて、寿司にしたり加工したりの作業をします。
このような流れで昼間は基本的に仕込み関係の仕事をし、休憩を挟んで夜営業の時間になると、自分も実際に寿司バーに立ちます。カウンターに立つと、そこではお客さんと目線が同じなので最初はすごく緊張しました。
けれど逆に目線が同じなので、お客さんも一生懸命に見て下さったりフランクに話しかけて下さいます。自分は英語もドイツ語もまだまだ上達してないので、あまり流暢な会話はできませんが、「これは何ですか?」と言われて、 『これはガリで、ジンジャーをスライスして……』など、そういった簡単な説明などの話をします。
非常に忙しいですが、握ったり、巻いたり、切ったりなど、いわゆる一連の「カウンターの仕事」を楽しみながらやらせていただいています。そして、そのまま夜の仕事を終了して、賄いを食べて、挨拶して帰宅といった感じです。
— 大変ですが充実した生活を送られているということですね。—
そうですね。とても充実していると思います。
— 日本の職場と違うところは?—
仕事を楽しくやらせてもらっています。自分にとってはそこが日本と違うところじゃないでしょうか。仕事がすごく忙しい中でも、何かしら楽しいことを見つけやすいというか…日本にありそうなギスギスしたものがないですね。
注文に追われたりとか、ものすごく伝票がたまったとか、もうどうしようもないって事もあるのですが、 それでも仕事は仕事としてこなして、メリハリのついた毎日が楽しく思えます。
流暢に話せなくともスタッフ同士のちょっとしたユーモアある会話ですとか、 忙しい中でも、笑いがあり、非常に楽しく仕事をさせてもらっています。
— お寿司の道に進んで本当に良かったと思うことはありますか?—
ふとした時にこう、寿司バーに立っている自分をかえりみて、「1年前に思っていた理想の姿だ」って思いました。東京すしアカデミーに入学するって決めた時、あるいは入学して練習している時に、自分の理想像通りになったと 思いました。
その理想像というのは、 海外の、外国人の方がいっぱいいらっしゃるお寿司屋さんで、すごい賑やかな感じで、お店の中もオーナーの方の趣味で、 お花がキレイに飾ってあったりしてすごいキレイなんです。
そういった雰囲気の中で、自分が実際に寿司バーに立って、握って、切ってる。…という風にやっているのを、「これって……自分が前に夢見てた、姿だなあ」「こういう風になったんだなあ」そう思った時は、すごく嬉しかったです。
— 佐藤さんの今後の夢を聞かせてください。—
この東京すしアカデミーにいた頃からの目標なのですが、自分はもともと音楽が好きで、バンドをやっていた事もありますから、 ドイツにライブハウス、ライブスペースのあるレストランを作りたいです。
やっぱり自分の店を持ちたいというのは、こういう仕事をしていたら絶対に皆さん考えることだと思います。その中で、自分ならではの…と言うか、自分は音楽をやってきたし、ドイツにも少なからず、そういう仲間はいますから。
そういった人たちが交流できる場を作れるように、将来へ向けて頑張っていきたいと思ってます。
— 最後に、後輩の皆さんにメッセージをお願いします。—
卒業証書っていう、紙切れ1枚なのですが、日本の寿司の学校の卒業証書という物の「海外での威力」はとてもすごいです。本当に、それ1枚あるだけで人生の道が開けます。自分からはそれだけですが、とても重要な事だと思います。
— これからも夢に向けてがんばってください。また次回の帰国時には学校に遊びに来て、またメッセージをお願いします。—
さらにステップアップした自分の姿を見せられるようにがんばります。
— 今日は空港から直行で来ていただいて、ありがとうございました。—
はい、30時間ぐらい起きてます(笑)